撤収中のワカモノサイトにはDDのフロントラインハンモックが揺れている。
迷彩柄が周囲によく馴染んでいる。
カーキカラーのバックパックにマグ外付け。
棒結びのロープが結び付けられ、下部にはウールブランケット、手前にはピコグリルに燠火。
スタンレーのグリーンがサイトにマッチしている。
DDの4×4を畳んで収納。
手際がいいなあ。
俺ではこうはいかない。
いつも袋に入らず四苦八苦。
コツを教えてもらいたいくらいだ。
聞くと、YouTubeのキャンプ動画を見て、グッと来るものを自サイトに取り入れているとの事。
「ハンモックもピコも全部そうですよ!」
笑顔のステキな、こだわりを持つ彼。
23歳でこのスタイルに帰結していると、今後はどの様に変遷していくのだろう。
ブッシュクラフト方向か…
喧騒を離れて野営方向か…
その凛々しくも手馴れている姿を見て、決めた。
今日はハンモックでユラユラしたくなった。
ハンモックに乗ってしまうと、何もしたくなくなるけど、いいや今日は。
クーラーをハンモックに近付けてのものぐさ配置。
ハンモック内から手を伸ばせば酒が手に入る。
彼のスタイルがそのまま我がサイトに反映。
パラコードをググっと締め、DD3×3をカイト張りにして、日陰を作る。
20度予報の道志では、日差しがキツそうだ。
蚊帳はまだいいかな。
張ったDDタープに大きなカメムシが昼寝しているけど、吸血中がいなけりゃまだ蚊帳は要らない。
選んだサイトの隅には柱に使う様な角材が放置されていた。
よしよし君も燃やしてあげよう。
手斧でパコーンと、優子さんに入るくらいにぶった切る。
ハンモックを吊り終えると、
「すみません、お邪魔しまーす」
はいはい、何でしょう⁉︎
「薪、もらってくれませんか」
二束の薪を手に。
「昨晩暑くて、焚き火も早々に終えちゃって」
いやいや、クルマに積んでお待ち帰りになったら…
「もうクルマいっぱいなんですよ」
見ると、軽にはこれ以上積めないくらいのテトリス状態。
確かに…
ありがたくいただいた。
自分が買った薪も含めて三束になってしまった。
おやおや今日はなんて日だ。
わらしべ長者を地でいく。
角材がいただきものの薪に。
この薪が次は何に変わるのか。
さてと金ヱビスの時間だ。
プシュ!
ごくごくごく…
クッ、クハ〜!
焚き火はいつも日暮れからの習慣になっている。
野営で薪を集め放題ならいいが、キャンプ場ではそうもいかない。
限りある薪で調理もするとなると、小割りの量も含めて、調理・焚き火タイムとどこでどう使うかの計算が働かざるを得ない。
すべてを消費しなきゃいけない訳でもないが、潤沢にある薪というのは幸せなものだ。
その余裕が昼から焚き火での焼き物で腹を満たそうとする贅沢を呼ぶ。
鳥モモと豚バラ串を暑いくらいの気候の中で、贅沢薪で焼き上げる。
焼き過ぎない様に注意して、塩コショウを振る。
キャンプをやってると色々な職業を疑似体験できるので面白い。
タープをどう張るかでは、設計士。
網の上の串を返していれば焼き鳥屋。
さて、いただこう。
ホフホフ、ハフヒ!
甘い。脂が甘い。
いつ食っても旨いな、豚バラ串に鳥モモ串。
腹もそこそこ満たされると、お決まりのウトウトタイム。
日が陰ると、途端に気温が下がるため、ハンモックに乗り込む。
酒の酔いとハンモックの揺れで、たちまち寝落ち。
タマラン…。