2018年12月06日
【決まりきった殻から抜け出して】-5章-
山から帰って来た晩はてんやわんやの大忙し。
綾子はクルマのリアハッチの下で、山の道具類を降ろし始めた。
テン場で夜露にまみれたフライシートもグランドシートもカビたら嫌だから、今夜中にベランダに干しとこ。
そうだ、レインウェアもだ。
エアライズ1は場所を取らないので、完全乾燥がとても楽。
これが一段落したら家族の夕飯の準備もしないと。
とても忙しいけど遊びに行けてるのだからしょうがない。

10月の山は言葉にならない、例えようもない美しさだった。
常緑樹の緑をベースに、黄や赤のトッピングが峡谷全体をカラフルに染めていた。
綾子は山行きの行程やキャンプを始めて10年の節目を、キッチンに立ち鍋に水を満たしながら感慨深く振り返っていた。
最近買ってお気に入りのバックパックに、下から軽いもの上にいくに連れ重いものをパッキングするのも、考えずに身体が動くようになった。
行く先の情景を思い描きながら、準備する時間が綾子は好きだった。
忘れ物が多いことを踏まえて、リストも作ってある。
ただ撤収作業と帰ってからの片付けだけはどうしても好きになれない。
頭の中では、次に行きたい行程がわんさと出てくるのだが、それと今の片付けがどうしても結びつかないのだ。
そしてもっとも難しいのが、気持ちをオンにする作業。
山へのオンではなく、仕事へのオン。
日常生活への気持ちの切り替えがね。
自分の心の中で、さあ仕事モード!って宣言しないと、なかなか引きずっちゃってて。
逆は簡単なんだけどな。
綾子はクルマのリアハッチの下で、山の道具類を降ろし始めた。
テン場で夜露にまみれたフライシートもグランドシートもカビたら嫌だから、今夜中にベランダに干しとこ。
そうだ、レインウェアもだ。
エアライズ1は場所を取らないので、完全乾燥がとても楽。
これが一段落したら家族の夕飯の準備もしないと。
とても忙しいけど遊びに行けてるのだからしょうがない。
10月の山は言葉にならない、例えようもない美しさだった。
常緑樹の緑をベースに、黄や赤のトッピングが峡谷全体をカラフルに染めていた。
綾子は山行きの行程やキャンプを始めて10年の節目を、キッチンに立ち鍋に水を満たしながら感慨深く振り返っていた。
最近買ってお気に入りのバックパックに、下から軽いもの上にいくに連れ重いものをパッキングするのも、考えずに身体が動くようになった。
忘れ物が多いことを踏まえて、リストも作ってある。
ただ撤収作業と帰ってからの片付けだけはどうしても好きになれない。
頭の中では、次に行きたい行程がわんさと出てくるのだが、それと今の片付けがどうしても結びつかないのだ。
そしてもっとも難しいのが、気持ちをオンにする作業。
山へのオンではなく、仕事へのオン。
日常生活への気持ちの切り替えがね。
自分の心の中で、さあ仕事モード!って宣言しないと、なかなか引きずっちゃってて。
逆は簡単なんだけどな。