【道具譚 野山で熟睡を保障 〜THERMARESTコンプレッシブルピロー〜】

一輪駆動

2021年01月06日 16:02

始まりは夏の高地だった。

標高は高いのに暑いくらい。

脱いだスウェットをシュラフのフード部分に折り込む様にして寝た。

キレイに畳んだつもりでも、腕部分の二重になった部分は、寝ている時に不快さでしかなかった。















枕など野遊びには不要、そう思っていた。

中坊の頃、自転車で訪れた田舎町。

バス停にかけられた小さな屋根の下で、シュラフなんかもなく熟睡していたではないか。

もちろん朝起きると身体は固くなっていたが、そんなもんだと思っていた。

野宿旅とはそういうもの。

シュラフなぞ買えるお金もなく、あるのは余りある体力だけであった。

近くのおばちゃんが朝どれキュウリを差し入れてくれたっけ。

その水分が喉の渇きを癒してくれた。















時を経て、インフレータブルピローなるものが世の中に出回り始めた。

仕舞いが小さくなることに目をつけ、試してみた。

中央に窪みがあり、後頭部がそこへ収まった。

やはりスウェットとは違う。

吹き込む空気量を加減して、パンパン過ぎでもなく、ペシャンコ過ぎでもなく、といういい頃合いを探していたっけ。

このピローは底面がつるつるのため、何処までも滑って上がっていってしまう。

寝ている時、上がっていく枕を頭が追いかけて、朝起きると半身芝生の上なんて事もあった。














その枕も酷使の末、少しずつ空気が漏れる様になった。

寝る前にこれ以上吹き込めないくらいにパンパンにしておき、寝相の悪さとの格闘のあげく、起きる頃には半分の高さに空気は減っていた。

それでも使い続けていたが、夜パンパン、朝ペシャンコとなってはじめて、棚に常駐となった。

使えないのに、捨てられない。

たまに取り出して眺めると、数々の野営の思い出が蘇ってくるためだ。

そんな道具がいっぱいある。


















しばし枕を探していたが、その間は元通りスウェットを丸めたもの。

そんな矢先、知人から教わった。

いい枕があると。















THERMARESTコンプレッシブルピロー

















同社製のインフレータブルマットに使ったフォームの余剰材の切れ端を集めたものが中に入っている。

一辺30mmほどの立方体のフォームがごろごろと。

手元に来た時は、触ってみてチトゴツゴツするのではと感じた。

ところが営地で昼から伸ばした状態で置いておくと、空気を吸って膨らむ。

それにピロー自体の生地が滑りにくいものなので、下に敷いてあるインフレータブルマットに程よく食いつく。

寝心地も柔らか過ぎず、固くも無く、頭を横に向ければ中のフォームがその通りに形を変えてくれた。

これでピローを追いかけて寝ながら幕内を彷徨う事も無くなった。

















収納は端から丸めていって、最後にポケットに差し込む。














熟睡できるって素晴らしいことなんだな、とこのピローを使ってみて感じた。


































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