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2020年06月02日

第二章【湖畔でリンちゃん。ムーンライト3】16





(キャンプエッセイです。登場人物、場所、ギアはすべてフィクションです)





新しい職場、新しい街にも慣れてきた。

そこが上手く回りだすと、とりあえず生活のベースが出来た気がした。

朝、カーテンの隙間から差し込む光と鳥の囀りで起きるのは気持ちがいい。

あれはキビタキかな。

鳴き声に特徴がある。

















そして余裕が少し生まれると、考え始めるのはやはりキャンプの事。

同じ課で隣りの席の優奈がキャンプ連れてけって煩いんだ。

いっこ下のキャピキャピちゃん。

ゆるキャン見て影響されたみたい。

スクーターで行きたいんですよね、と免許も持ってないのに気分だけはリンちゃん。








でも正直なところここまで職場に溶け込めて、実はホッとしていた。

2人でキャンプ行くのはなんだかな…、なので課長にも声をかけて4人で行くことにした。

もう一人は課長の長男くん。

課長からは、家族でキャンプに行ってきたとの話を前に聞いた事があった。
















神割崎、とことん山、不動尊、ほとりの遊び場…

この辺りから行きやすいキャンプ場。

ネットでは見たことあるけど、行ったことのないスポットばかり。

課長はそれならほとりの遊び場にしようと大乗り気だった。

湖畔沿いの絶景を堪能させるわ!、とまるで自分の庭の様な言いぶりだった。

ファミキャンで鳴らした腕を披露してくれるって。
















3人の予定が合った土日。

仙台支社は休める土曜が多い。

こんなところは転勤のメリットだった。

土曜の朝、7時にハイツ前まで課長が迎えに来てくれた。

雲ひとつない透き通る青空。

外の通りに黒の四角いクルマが停車していた。

ワックスがけもバッチリで、青空がボンネットに映り込んでいた。

えっ、レンジローバー乗ってんの⁉︎

やるなあ、課長。

助手席のチャイルドシートには6歳の武くんが座り、優奈は後席にいた。

「おはようございます!」

真っ先に挨拶したのは武。

躾がしっかりしてるわ。

「悪いな、ウチの武、景色が見えないとすぐクルマ酔いしちゃうんだよ」

「課長、今日はよろしくお願いします」

「杉山さん、おはようございまーす」

優奈は今時のトレッキングスタイルで全身を覆っていた。

まるで雑誌の見開き広告のまま。

ハマったらとことんのタイプだな。
















途中、山道に入ってから武の気分が悪くなり、2回ほど休んでペンション脇の小道に乗り入れた。

真っ先にクルマから降りた優奈は、見事な湖畔の景色に見惚れていた。

「湖越しの二つの山、あれの左側が磐梯山」

何度か来た事のある課長は、ガイドさながらに説明し出した。

うっとりしていた優奈が呟いた。

「こんなところがあるんだ。最高のキャンプ場ですね!課長」

英太はきょろきょろと見回してはみたが、あるべき建物が見当たらない。

「課長、ここはどこで受付するんですか?」

「んっ、ここはな、管理棟も無いんだ。強いて言えばあのオールが置いてあるタープが受付かな」

「でも誰もいませんよ」

「んっ、大丈夫。電話して勝手に張っといていいと言われてる」

「へ〜、課長、常連なんですね」

「違う、違う。ここではみんなそうなんだ」
















敷地内を歩いてみた。

それほど広い訳ではないが、丁度敷地の真ん中辺りに湖に対して半島の様に突き出た場所が見つかった。

「ねえ、パパ、ここにしよ!」

武の一言に皆、頷いていた。

二本の樹に挟まれて額縁の様に磐梯山を望めるスポット。

武、なかなかやるな。

審美眼を持ってるじゃんか。
















課長はヘリノックスのサンセットチェアを自分用に、武にはグランドチェアを組み立てた。

優奈はA-liteのメイフライ。

俺はサーマレストにあぐら座り。

流石に銀マットは棚に収まっていた。

課長は何よりも酒好きだから、YETYのクーラーからオレンジジュースと黒ラベルを出してきた。

「えっ、課長、設営前からいっちゃうんですか?」

「硬いこと言うな、一本だけだ。呑まずにはいられないだろうよ!この景色では。杉山は何がいい?」

クーラーにはビールの缶がいっぱい詰まっていた。

しばらく絶景を眺めつつ、いただいたキンキンに冷えたビールで喉を潤しお喋りを楽しんだ。

今度はイス買わなきゃダメだな。

武にでさえも視線は上向き。
















「そろそろ設営始めるか」

課長の音頭で、各々荷物へ向かっていった。

優奈はモンベル・ムーンライト3。

どこまでリンちゃんオマージュ⁉︎

課長が手伝ってあげている。

だって俺にはムリ。

そうだ、俺のデビューの時は奈緒さんが手伝ってくれたんだった。


































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この記事へのコメント
それぞれの生活
それぞれのストーリーですね
当たり前だけど

そして
ふと奈緒さんのことを思い出す
この人、ちゃんとお父さんになれるのか心配です(笑)
Posted by shinn.shinn. at 2020年06月02日 23:05
あれ??
いつから小説家になったのですか笑
物語の続きを楽しみにしてます(^-^)
Posted by yashiyashi at 2020年06月03日 06:33
おはようございます。
二話一気読みさせてもらいました。
いや〜やっぱり面白いですね。
離れ離れになり、それぞれの日常がスタートしはじめてる中、どこで接点が生まれてくるんだろうかと今から楽しみ!

それにしてもキャンプの入り口の扉は人それぞれですね。
Posted by くじらなわくじらなわ at 2020年06月03日 07:09
おはようございます。

ほとりですか、しかも一番良いとこ行きましたね
自分のトップ画面もそこなんで、光景が目に浮かびます。

この後の展開が楽しみです(^^)/
Posted by 柴わんこ柴わんこ at 2020年06月03日 09:49
ども(^^♪

あららら??

英太!! なんか、羨ましいな~、次々と(笑)

課長のレンジは、MINIからの流れで
クラシックですか??

やるなあ、課長!
Posted by うち。うち。 at 2020年06月03日 12:13
こんにちは(・ω・)

最近、ホトトギスの鳴き声が子守唄になっているいたちです(笑

それはそれそして第二幕第三話は仙台が舞台
第一~二話の奈緒さんと同じく、なんだかんだ仕方なしでも日常は巡ってくるものですね
登場人物もぐっと増えてきましたが、それぞれに特色をもたせたキャラ作りがお上手です(*゚ω゚ノノ゙☆
なんとなく印象的だったのは奈緒さん編では「自分を思い返す」と「自分を取り戻す」方向で〆られた(一~二話)のに対し、
英太くんは「奈緒さんとの思い出」で〆られたこと
これが今後どのように展開されていくのか+(0゚・ω・) +
……しかし英太くんモテるな(´・ω・`)ウラヤマシクナンカナイゾ
Posted by いたちいたち at 2020年06月03日 16:35
こっちにもこんばんは~!

やっと追い付いた(笑)

優菜ちゃんの登場に思わずワクワクしてしまいましたが、shinn.さんのコメントで我に返りました(笑)そうだった、英太君パパじゃん!( ̄▽ ̄;)

それにしても、写真でしか見た事が無い憧れのほとりの遊び場。行った事が無いのに素敵な情景が浮かんで見えました(^-^)

それと、子連れで関東からだとどうやったって辿り着けないキャンプ場。そんな所にも行ってみたいなぁと車中泊を考えてた自分を思い出しました(爆)
Posted by ぴこさんぴこさん at 2020年06月03日 18:55
こんばんは!

ほほ~!
ほとりの遊び場ですか♪
写真でしか見たこと無いけど、
きっと湖畔の水際の、磐梯山が見える「あのサイト」のことかな?(^^


優菜ちゃん登場。
優菜ちゃんが奈緒ちゃんのヤキモチのタネですね♪
もうそういうの大好物です♪
Posted by 八兵衛八兵衛 at 2020年06月03日 22:49
なんか雰囲気がいい職場ですね。
同僚でキャンプにいけるなんて。

私もまず着いたらビール飲む派です。
まず一本いかないと気がすみません。

ほろ酔い気分で設営がいいんですよ。
で、設営してもう一本いきます。
Posted by 山猿山猿 at 2020年06月04日 15:21
shinn.さん
毎度ありがとうございます。


それぞれの生活が始まりました。
ベースの生活は、もちろんあるのですね。
交わらぬ部分での。


ププッ、作り話ですから!shinnさん!(^^)
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 18:19
やっし〜さん
お久です!


ププッ、自粛であまりにヒマなもんで、
こんなん書いて慰めてますよ(^^)
お言葉ありがとうございます。
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 18:21
くじさん
いつもありがとうございます。


一気飲み!いや一気読み、ありがとうございます。
またまた嬉しいことを仰る…(^^)
出会うのか、出会わないのか⁉︎
どうしましょ⁉︎
色々考えてはおるのですがね。
まだまとまらんっす!
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 18:24
柴わんこさん
毎度ありがとうございます。


やっぱりほとりのベストはあそこですよね(^^)
普通の幕はもちろん、ハンモックにもお誂え向きの樹がありますからね。
トップはほとりでしたか。見てこよ。
お言葉ありがとうございます。
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 18:26
うち。さん
毎度ありがとうございます。

ねえ、ふざけんな、このー!ですよね(^^)
でも身近でいませんでした、こんな男⁉︎
やたらともてる、みたいな。

課長のはもちろん丸目のレンジですわな。
93年式の!
あちこちガタピシ言わせるタイプのですわ!
今のイヴォークなんて乗れるかい!
っていう人なんです(^^)
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 19:48
いたちさん
毎度ありがとうございます。

なんとなく…
の部分、チト参りましたわ。
そのプロットで書いてたものなので、
言い当てられてびっくりですわ!
少し感情のシフトしとくか!
ってやってましたんでね(^^)

波は寄せては引き、引いては寄せるのです(^^)
ワタクシはジュウブン、ウラヤマシイゾ(^^)
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 19:51
ぴこさん
毎度ありがとうございます。

追いついてくださりありがとうございます(^^)
もうすぐ産まれますが、まだパパではない…
その前に妻帯者やん!ですけどね。

あらま、情景浮かびましたか!
それはまた嬉しいお言葉。
こちら、いいですよ。
途中のSAで車中泊して、ぜひ行ってみてくださいませ。
独特のキャンプ場ですよ。
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 19:54
八さん
毎度ありがとうございます。

やはり自分の目で見た景色でないと書けないもんですね。
想像だと、言葉が浮ついちゃう(^^)
そうそう、磐梯山の額縁サイトですよ。

へへへ、対抗馬を出しとかんとね(^^)
膨らまんのですわ、ストーリーが。
大好物だと思ったりましたよ(^^)
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 19:57
山猿さん
毎度ありがとうございます。

英太のカラッとした気性が、
人を呼ぶのでしょうね。
まったく裏山けしからんヤツですわ(^^)

おっと、山猿さんも設営前プシュッ組でしたか。
気がすみません…、って(^^)
ワタクシは飲み始めると一本じゃ済まないので、
呑む前に設営組です。
もし呑んだら、マットにシュラフで寝るかもしれません。
幕もタープもハンモックも無しで(^^)
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月04日 20:00
 こんばんは

奈緒ちゃんのミニといい課長のレンジといい、昔の英国車の魅力的な事ったら・・・(Lotusの7やR/RのSilver Ghostなんて夢に見ます)。

個人的にはレンジよりディフェンダーなんですが面倒見て貰ってる車屋さん(クロカンする)によると「重量の割りにドライヴシャフト細いからよく折れるよ」との事です。

宝くじ当たったら660ccのセヴンを買いたいです(まだあるのか知りませんがww)。
Posted by まろ(仮)まろ(仮) at 2020年06月05日 21:48
まろさん
毎度ありがとうございます。

ハイ、古き良き英国車、英国車にしか出せない味ってありますよね。
シートのなめし革の香りがする様な。
ロータス7の現車なんて途方もない額でしょうね。
いずれはケーターハムかバーキンに乗りたいな。
ゴーグルつけて。

ディフェンダーもいいですね。
パッと見で、すぐに分かる個性を持つデザイン。
クルマに限らず、そういった唯一無二のものに惹かれます。
もうモノではなくなりますね。
相棒、そう相棒です。

660のセブン⁉︎、初耳です。
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月06日 08:44
ども! 

妄想ファンがいっぱいで圧倒されそう (*^-^*)
それぞれ新しい人が出てきて、以前好きだった人、
会いたいと思っていた人を忘れかかったころ、
偶然また再会する。…なーんて

私の想像する展開はありがちかな?ふふふ。

一輪駆動さんならどんなふうにもっていくのか楽しみです。


ずっと昔、初めてカヤックに乗ったときはまるで水面に座ってるような
気持ちになったのを思い出しました。
10回くらいしか乗っていませんが
エスキモーロールが苦手で沈脱ばっかりで。
長瀞とかで流されました。ひゃ~怖かった。
関係ない話でごめん。
Posted by dekopondekopon at 2020年06月08日 16:11
dekoponさん
毎度ありがとうございます。

ププッ、妄想ファンって…
はじめまして、妄想族総長でございます(^^)

人は出会いを重ねて、ふくよかになっていくんですね〜。
体型の事じゃないですよ(^^)
今のところ、英太、育つ編ですね。
さて、どうしよう⁉︎
会わせたいが、普通じゃツマランし、
だからと言って思い浮かばない(^^)
どうやら鉄板の展開になるかも⁉︎

カヤック、いいですね。
水面とほぼ同じレベルから見る景色はまた違ったものなのでしょうね。
しかし色々やっとりまんなあ。
羨ましい。
長瀞で流されたいくらいですよ(^^)
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月08日 21:08
流されたいなんて!

岩にぶつかりつかまるものがなくて流れに流されて

ぼっこぼっこですよ~~( ゚Д゚) ( ゚Д゚) ( ゚Д゚) イタイ
Posted by dekopondekopon at 2020年06月09日 06:01
dekoponさん
再度、ありがとうございます。

そっか、痛いのか…
じゃ、ダメだ(^^)
沈したらライフジャケットの浮力で、
岩間をのらりくらりと流されていくイメージでしたわ(^^)
そんな、甘くない…
Posted by 一輪駆動一輪駆動 at 2020年06月09日 07:56
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